高校生の 鈴代玄夜 は苦悩していた。
「自分は何故、女に生まれなかったのだろう」と…
彼はパッと見 ボーイッシュな女性に見えるほどの美少年。
だが男は男、女ではない。
そんな彼が唯一自分らしく振舞える場所があった。
――ネットゲームの世界。
そこでは彼は『 彼女 』であった。
女性キャラを使い、…

< 全体のあらすじ >



高校生の 鈴代玄夜すずしろげんや は苦悩していた。

「自分は何故、女に生まれなかったのだろう」と…

彼はパッと見 ボーイッシュな女性に見えるほどの美少年。

だが男は男、女ではない。

そんな彼が唯一自分らしく振舞える場所があった。

――ネットゲームの世界。

そこでは彼は『 彼女 』であった。

女性キャラを使い、ヒーラーとして活躍する。


そんなある日、誤って階段から落ち意識を失ってしまう。

気が付くと、そこは見知らぬベッドの上だった。

それから自分の体に違和感を覚えた。

女性の体になっていたのである。

僕は死んで、転生したのだろうか?

記憶を辿ってみると、驚くコトにこの体の持ち主の記憶が読める。

どうやら転生ではなく、体の入れ替わりなのかもしれない。


・リーリア…私は神官なのに攻撃魔法しか使わないコト

・そんな私が明日から王子の護衛として、妖魔討伐パーティに同行するコト

・この世界はファルメリア。 やはり地球とは違う世界らしいというコト がわかった。


夜、寝床につくとき明日から未知の体験と実戦になるかもしれないというのに 不思議と恐怖感があまりないコトに気が付いた。

今の状況を素直に受け入れてしまっている自分にも驚いた。


次の日、初めて王子と対面する。

王子は気さくで爽やかな好青年だった。

何か胸の奥で キュッ、となる感じがする。

他にも討伐パーティに同行するグレリオとシューゲルも来ていた。


半日ほど馬車に揺られると、妖魔の拠点近くに到着し野営をする。


――早朝

オークたちが住処にしている洞窟に突入する。

そこで王子が負傷してしまう。

根っからのヒーラー気質な私は、王子を治癒する。


安堵したのも束の間、私たちはオークとトロールの群れに囲まれてしまう。

グレリオの助けもあり、仲間たちと連携し からくも危機的状況を打破する。

全員、満身創痍だった。


帰りの荷馬車の中で、唐突にグレリオの告白が始まる。

彼は王子の暗殺、または事故死を依頼されて同行していたらしい。

依頼主は、弟王とボルゴー。

危機的状況に陥ったのも彼らの計画であった。

だが訴えようにも証拠がなかった。

――王子の心中は複雑だろう。


依頼主を裏切って王子たちを助けてしまったグレリオに「自分は死んだコトにしてくれ」と頼まれる。

そして彼は夜の闇に消えていった。


次の日の夜。

王子の帰還を祝い、ささやかながら宴が開かれた。

シューギルと私も功労者として紹介され、国王にも気に入られたようだった。

そこで、王子からダンスに誘われる。

――そして夜が更けていった。