ハーラーアッドの黙示録

作者小鹿

中枢政府によって支配された世界。秘密警察による暴力と恐怖は世界市民に秩序をもたらす。
 イェネスが10歳の頃、目の前で母親が無実の罪で処刑された。
 母を失ったあとイェネスは義姉を二人で暮らし始める。貧しいながらも懸命に生きる中、フィルムという人口殺戮生命体がイェネスたちが暮らす町を襲撃する。甚大…

中枢政府によって支配された世界。秘密警察による暴力と恐怖は世界市民に秩序をもたらす。

 イェネスが10歳の頃、目の前で母親が無実の罪で処刑された。

 母を失ったあとイェネスは義姉を二人で暮らし始める。貧しいながらも懸命に生きる中、フィルムという人口殺戮生命体がイェネスたちが暮らす町を襲撃する。甚大な被害を出したこの事件は政府によって隠蔽された。そしてイェネスはたった一人の家族である義姉とも生き別れてしまう。

 

 孤児院で雑用として働かされる日々が続いた。15歳に成長したイェネスはまたしてもフィルムの襲撃に遭遇する。孤児院は壊滅したものの帰る場所を失ったイェネスは途方に暮れる。

 そのときフィルムに立ち向かう戦士を目撃する。特殊な武器で次々と倒していく戦士の中には生き別れた義姉であるシュシュの姿があった。

 見捨てられたわけではないことを知ったイェネスは義姉のような戦士になると心に誓う。そして反政府組織ゲウォーリャの存在を知るのだった。

 

 過酷な入会儀式に挑むイェネス。予想以上の身体能力を発揮するが襲い来るフィルムによって致命傷を負ってしまう。しかしイェネスは秘められていた力を覚醒させる。入会許可がおりて戦士になったもののイェネスの能力は他の会員とまるで違うものであった。


 かつてとある探検チームが古代遺跡を発見する。そこには色彩鮮やかな壁画と額に穴の開いた頭蓋骨。そして一冊の書物が見つかった。それが後にハーラーアッの黙示録と呼ばれる神話的警告本だった。中には四柱の神についての記載があり、その一つに「深紅の剣士」という神が登場する。その神の能力とイェネスの能力が非常に似ていたのだ。


 神の力を持つ者という存在だったイェネスに周囲の仲間は困惑を極めるものの互いに尊敬し合う仲になる。

 そして同世代の仲間であるゼネル、リーフェン、シュターナー、ボンとの出会いを通して成長していく。

 

 生活の場は高等院に移り、そこで仲間との信頼関係を築いていく。

 そんなある日、フィルム襲撃を隠蔽し続ける政府を批判する団体が粛清されたという知らせが耳に入る。

 そしてイェネスたちが通っている高等院にも秘密警察が突入し危機が訪れる……