皇帝は容易く華を折る

作者小町ほく

あらすじ

 兄を亡くしたショックで海に来ていた主人公、早見鈴はやみすずはふとした拍子に足を滑らせ、海に落ちてしまう。

 気を失い、目が覚めたときたどり着いていたのは聞き覚えのない中華国であった。

東は虞淵グエンと西・晧月コウゲツに分かれて対立しているこの国では、日々争いが起きていた。

 すずは浜辺に打ち上げられてたところを町の青年、弥白ミハクに助けられる。弥白はぶっきらぼうな言い方をしつつも鈴にたくさんのことを教えてくれた。鈴が日本から来たというのも信じてくれた。そして鈴は弥白ミハクに協力を得ながら中立の町である宿で過ごすことを決める。

 しかしその夜、鈴は東の国・虞淵グエンに攫われる。自分に顔がそっくりであるという虞淵グエンの皇帝・秀英シゥインが病のため、影武者となるように言われる。断れば命はない。そう言われ鈴は『リン』と名を改められ、後宮で過ごすこととなった。最初は嫌々であったが、皇帝・秀英シゥインに兄の面影を感じ、徐々に力になりたいと思うようになる。

 そんな事態に陥りながらも弥白ミハクと会い続ける鈴。デートを重ねるたび、お互いに惹かれていった。

 しかしある日、西・晧月コウゲツに攻められ、しばらく指導者が不在であった虞淵グエンは追い込まれてしまう。玉座の間で影武者である鈴を捕らえにきたのは、なんと弥白ミハクであった。

 西・晧月コウゲツの皇帝であった弥白ミハクによって捕らえられた鈴は、弥白ミハクから疑われ、自分の気持ちすら信じてもらえなくなってしまう。そして、ショックで落ち込む鈴に弥白ミハクが言う。「二ホンとやらに、帰れ」

 捕らえられたままの鈴が下す決断は……