物語全体のあらすじ


 村の長の娘だったマリー・シュウは、ある日、身元の分からない騎士集団に村ごと襲われ、どこかへ連れていかれる。その際、頭と首の付け根に入れ墨をされ、収容所に入れられて、食事もろくに食べられなかった。


 数日が経ち、栄養失調で力の入らないマリーのもとへ兵士が来る。外へ連れ出されたマリーは、両手足を縛られて目隠しをされた女が、一人で座らされているのを目撃する。

 兵士はマリーに斧を渡し、これで首をはねるように命じる。マリーは拒否するが、強く殴打されて嘔吐。このままでは殺されると感じ、女の首に斧を突きたてた。


 兵士は女を殺したマリーを、檻を引く馬車に乗せて移送。茫然自失のマリーはなぜか、綺麗で文化的な様子の街で降ろされ、部屋と服と少しのお金を与えられる。

 困惑しているマリーのもとへ、男二人分の大きさがあるアリス・フェンディが現れ、これから奴隷戦士として戦うように命じられる。

 ここは世界中から旅行者が集まるベデンの国。その最大の目的は美しい女たちが死ぬまで困難な試練に立ち向かう険闘士の試合だった。


 マリーは訓練士としてジャガイモのような顔のロド・ボッデスという初老の男と組まされる。彼はマリーが最初の試合で死ぬと豪語し、特に訓練を施そうという気がない。度重なる不幸を受け止めきれず、マリーは体調を壊して熱を出す。寝込んでいるマリーに届いた試合命令は、二週間後。


 部屋で眠っていたマリーの耳に地鳴りのような声が聞こえ、飛び起きる。体はだるいが寝ていられないほどの歓声。導かれるように外へ出ると、街にあるスタジアムの一つで試合が開催されていた。

 ライオンの背に縛り付けられた女と、熊の背に縛り付けられた女。二人とも戦うどころではないほど、尻の下の猛獣に翻弄され、最後には肉のボロ切れとなった。試合は熊がライオンを殺して終わる。


 あまりにも無茶苦茶な現実に、ひと欠片の気力も失うマリー。街を彷徨っていると、ロドと再会する。口を利く気にもなれなかったが、ロドは意外にも沈んだ顔で「元々はこうではなかった」と言う。

聞けば、人々は平和の代償に刺激を求め、健全な訓練と精神で作り上げられる屈強な戦士たちの戦いに見向きもしなくなったのだという。

 元は闘士だったロド。闘いで死ぬでもなく、戦い抜いて市民権を得るのでもなく、ただ捨てられた。


 マリーは自分で死ぬか、生き抜くかの選択をロドに迫られる。しかし先程の試合を見た限り、どう考えても生き残ることは出来ない。

 絶望を伝えるマリーに、ロドは首を横に振って言う。

「ここに闘士はもういない。勝つ事さえ出来れば、戦わなくていい」


ロドの真意は、この国に渦巻く利権と汚職の戦いを制し、試合をする前に決着をつけることだった。