猫さえいればいい。一匹の黒猫。名前はブラック。私の相棒。人間なんて必要なかった。その証拠に地球は消滅する。人間のせいで宇宙に害なす星として知られてしまい、消されるのだ。――最後の五分間に起こった思いがけない出来事。もう一人の『私』との出会い。地球の遺伝子は今、穏やかに消滅する。


「私、あなたみたいな人を探していたのかなぁ。

 ずっと自由が欲しかったんです。

 自分がもう一人いればよかったのにって」


「それが私だと?」


黒猫がニャアと鳴く。


「いけない?」


地球消滅まであと五分間。