オリエンタルブルーの海で抱かれたい

作者神坂 はづき

死亡した初恋の幼馴染を探す都会の高校に通う少女と、その少女を助ける怪しい探偵と。
北の大地より都会に引っ越した禁断の姉弟に想いを馳せる女子大生と。
そして、一人の少女のために自分の人生を捧げることを決意して海を越えた青年と。

――珠玉の物語は、やがて一人の少女へと繋がっていく。


オリエンタルブルー


オリエンタル=東洋の、東洋的なという意味。濃い紫みの青。チャイナブルーとも呼ばれる。

物事を深く見つけることができる「洞察」のカラーです。どんな苦しい時でも希望を持つことで切り抜けることができる強さを持っています。

抜粋:彩月カラーセラピー


「…ただ、このカラーを好む人は、話しかけにくい印象を持たれることがあるので注意が必要かもしれません」


と、スマホの検索画面にあった結びの一文を読んで、一緒にスマホを見ていた二人の間にしばしの沈黙が流れたあと、少女の盛大な笑い声が沈黙を破いた。


「はははっ!あんたにぴったりの色だね。…もし私が道を違えても、あんたはこの海のように私を海容かいようしてね」

そう言って少女は、僕と同じ色と言った目の前の海を慈しむように眺めた。



全てはあの子に辿りつく。

辿りつくために、集まる珠玉の物語。

海の牢獄に囚われて動けない君を迎えに行くから、少しそこで待っていて。


表紙