「お前、アイツだけはやめておけ。」私の腕をがっしり掴んで離さない、その大きな手。うるさい、そんなのアンタが決める事じゃない。私よりもはるか高い位置にあるその端正な顔立ちは、噂通り”鬼上司”のそれだった。
「オイ」
目を逸らした瞬間に肩を掴まれる。
「アイツだけはやめておけ。」
「なんでですか」
「......ロクなことにならない」
うるさい。
そんなの、アンタが口出しすることじゃないでしょ。
放っておいてよ―—