恋は素晴らしい。
恋に落ちた瞬間、今までの世界がまるで嘘のように色づき始める。
ヒロインの、大きく潤んだ目。
その背景にはたくさんの花が咲き乱れ、世界そのものが眩いほどに輝き始める。
そんな少女漫画の世界は、私たちに恋という名の希望を与えた。
しかし、私は真っ向からそれを否定しよう。
恋というのは、そんなに素晴らしくも、美しくもない。
恋に落ちた瞬間、彼以外の全てのものは色褪せ、眼中にはまるで入らなくなる。
だから世界が色づいて見えるのだ。
恋に落ちた後に待っているのは、トキメキではなく、ただただ黒い感情。
いかに相手を自分へ引き寄せるか、相手に嫌われないか……そんなことばかりを私たちに考えさせる感情。
痴情のもつれではない。
修羅場なんて、ありはしない。
これは、私が恋に堕ちた、その末路だ。