清々しいほどの晴天の卒業式。参列する高校二年生の鈴香の気持ちは沈んでいた。
秘密で付き合っている先輩・千景が、今日高校を卒業する。『彼が高校を卒業するまで』という期限付きの恋愛が、あと少しで終わろうとしていた。
去年の五月、図書委員の鈴香は、図書室に勉強しに来ていた千景と、好きな作家が同じことから仲良くなる。恋愛に関心の無かった鈴香だったが、おすすめの本を教え合ううちに千景のことが好きになっていく。
しかし、千景は校内で目立つほど容姿端麗で優しく性格も良い。さらに、研修生として芸能事務所にも入っている、いわば高嶺の花だった。
自分に釣り合うわけがないと理解しているものの、初めて感じる激しい恋心を抑えられないと自覚した鈴香は、千景が卒業するまでの数ヶ月間だけ、誰にも言わないから付き合ってほしいと告白。そうして、二人の期限付きの秘密の恋が始まった。
しかし、一緒に過ごすほどに大きくなっていく気持ちとは反対に、夢のような時間はあっという間に過ぎていく。そして、約束の期限である三月が訪れてー…
切なく甘く、静かに熱い。ときめき必須の青春恋愛物語。