死にたい彼と生きたい彼女

作者どんぐり


『……死ぬの?』

『……死ぬよ』

──これが、彼女と俺の出会いだった。

これは、死にたい俺と、生きたい彼女の恋人ごっこ。
それを通して、俺が彼女に救われる物語。



そして──彼女に、《生きていてほしい》と、心から願い続ける物語。





『……死ぬの?』



『……死ぬよ』



その出会いから始まった、

俺と君の関係が変わったのはいつだろうか。


今度は──

俺が、君にそれを問う番になってしまった。




『本当に……死ぬの?』




その答えに、俺と同じ言葉を

全く違う重みで言う君に

何も言えなかったけど。


ただ、どうしようもなく悲しくて、

寂しくて、辛かった。







今もずっと

俺は君のことが忘れられないし

忘れる気もないけど



それでも今日も、俺はちゃんと生きてる。





生きて──

君に“生きていてほしい”と、願っている。