高木遥は普通じゃない

作者小林 栄

高木遥は高校一年生。前髪は長く、声が小さく、愛想がない。彼は高校で、誰にも関心を持たれないように、地味に生活していた。なぜなら高木遥には、母親が二人いる。高木志保と藤田恵子。二人は遥の母親で、家族で、恋人同士。

中学の時に『レズビアンの息子』と噂されてから、高校では噂がたたないように、地味に生活…

高木遥は高校一年生。前髪は長く、声が小さく、愛想がない。彼は高校で、誰にも関心を持たれないように、地味に生活していた。なぜなら高木遥には、母親が二人いる。高木志保と藤田恵子。二人は遥の母親で、家族で、恋人同士。


中学の時に『レズビアンの息子』と噂されてから、高校では噂がたたないように、地味に生活することを心がけていた遥。そんな遥を気にかける少女がいた。南一花。同じ美術部の一年生だ。彼女は遥に『特別』な何かを感じており、遥と仲良くなれば、自分も『特別』な存在になれると信じている。


高校の文化祭で、目玉の看板を制作することになった遥と南。その看板の絵は、有名なインフルエンサーによってSNSでバズり、遥は学校中の有名人になってしまう。そしてまた、遥の家族について知る生徒が現れる。


セクシャルマイノリティの家族を、家族の一員である自分を、受け入れられない遥。だがあることをきっかけに、家族の愛情に向き合い始める。生き辛い毎日でも、細やかな愛情は、確かに側にあった。