夢を渡す僕と、僕の世界のものがたり

作者渚乃雫

「僕たちは、曖昧な存在なんだ」


夢渡しとは、『彼ら』がいう『夢』というこの世界で彼ら自身の記憶の整理を行い、また彼らの『現実』という世界に帰っていくための旅を手伝いをするために、存在している者。


凪、と呼ばれる僕が、その世界で目にするものこと、耳にすること。
この物語は、
そんな僕たちの、…

『ねぇ、もしも、

此処で出逢った人に恋に落ちたら


此処でしか逢えない人に

恋をしたら、

凪なら、どうする?』



 あの時、君が言った言葉の意味を、

 今になって、やっと解ったよ。


 ねぇ、今なら言えるよ



 ーー あの人が、此処に、来ますように


 あの人が眠って、また


 ーー あの人の夢を渡せますように



 それが、

 君が願った最期の願いだったね。



 例えばそれは、僕達にとって

 途方もない願いだとしても



 ーー 夢でしか、逢えない君達へ 




 逢わせてあげたいと願うことは




 決して間違いではなかったと


 僕は今でも、そう思っている。