僕は湯塚(ゆづか)先輩が好きだ
誰よりも先輩の役に立つために、僕は今日も先輩の後ろ姿をこっそり追いかける。

*アルファポリスでも掲載中



 僕は、先輩について誰よりも詳しい自信がある。

 ミルク多めの缶コーヒーが好きなことも、お昼はお母さんの作ったお弁当を食堂で食べることも、クラスに友達がいないことも、帰り道によく寄るお店も、気になっているカフェも、欲しいと思っている鞄も、最近買った服も、住んでいる家も、誕生日ケーキをどのお店で買うかも、朝起きたら一番最初に窓のカーテンを開けることも、全部知ってる。



 だから、一番先輩の役に立つのは僕だと思うから。誰よりも、僕が、先輩の側に居るべきだと思うんだ。