この世界には“恋”がない。ルーナはそんな異世界に“間違い”で召喚された役立たずの“神子”だ。ちょっとだけヒミツを隠している以外は、至って平凡な女の子だった。三年前までは。魔力をほとんど持たない上によびだされたこの世界はおおむね平和。仕方ないので帰還の条件が揃うまで、ルーナを召喚した“…もっと見る
あの赤い月が満ちる。
本能が溢れ出す。
彼は容易くわたしを手放すだろう。
この世界で恋をしていたのは
わたしひとりだった。
──お願い、先生。
わたしのことを、好きになって。
その心と体ぜんぶに、消えない赤を刻み付けるから。