あなたの家の前にダンジョンができたら、どうする?
ライフラインが止まる前、政府は絶対にダンジョンに入らないようにと注意喚起を出した。
「でもさ。電気も水もない。スーパーでは暴動。こんな状況にしてくれたダンジョンに突撃したくもなるだろ。どうにでもなれって。」
「空…ほんとに行くの?」
双子の妹が心配そうに俺のシャツを握る。
家の前にできた洞窟、つまりはダンジョンの前で、俺は家から包丁を持ってきた。
「行く。これが本当にダンジョンなら物語の中ではモンスターは食べ物になる。どのみちこのままじゃ、母さんが死ぬ。」
女手一つで、自分と双子の妹、さらに弟と妹が一人ずつ育ててくれた。
そんな母さんが、この最悪の状況で熱を出し、床にふしている。
食糧もろくにないのに、子供を優先するからだ。
「〜っ、なら空、私も連れてって。」
双子の妹ーー美月は家にある果物包丁を持ってきていたようだ。
「…何出るかわからんぞ。」
「一人より、二人の方がいいでしょ!」
これは
ダンジョン1世代と呼ばれ、第一戦で活躍することになる双子の話。