名を持たない少女は、水穂国(みずほのくに)にたびたび厄災を及ぼす荒ぶる神が依りついた「神依りの巫女」として、小さな島に一人きりで暮らしてきた。
誰とも会わず、話さず、触れ合うこともなく。

しかし十七歳になったある新月の夜、供物を捧げにきた神護り(かみまもり)によって、少女はある事実を知らされる。…