ある日、アルングリム公爵邸では暗い影が落とされていた。公爵夫人が流行り風邪で亡くなってしまったからだ。母親が亡くなって兄と一緒に落ち込んでいた、ヒロイン・マーガレット。
喪が明けて直ぐに父親が連れて来たのは、これから正妻となる妾と、腹違いの妹エイミーだった。義妹を見た瞬間に、日本で生きた前世を思い出す。そしてこの世界がライトノベルの「義妹に何もかも盗られたのでざまぁします」だと気が付いた。
義妹はこれから少しずつ自分の味方をつけて、マーガレットの持っている、地位や婚約者など全て奪っていく。そして最後には公爵家から追放されるのだ。義妹への復讐心を燃やすのが本来のマーガレットのはずなのだが、前世のオタクだった日本人の“私”がこう叫んでいる。
「うおお!!! 本物のエイミーたん!!! お人形さんみたいで、めちゃくちゃ可愛い!!! 沢山着飾って愛でて、本当の妹になってもらいたいよおお!!!」
――この日、マーガレットは決意した。可愛すぎる義妹をたくさん愛でると。