あの日が来るまで
キミは景色の一部だった。
教室の窓から差し込む日差しを浴びながら本を開いて、
クラスメイトの誰とも喋らないまま、
自分の世界を楽しんでいるかのように見えていた。
でも、それは私の勝手な思い込み。
いま振り返れば、
置き去りにしてしまった青春を
胸の中に封じ込めていただけ。
ありのままの自分を見てほしかった。
なのに、傷つくのが怖くてブレーキをかけてしまっていた。
でも、それはマネキンの私も同じ。
残念系な部分も見てほしかったから……。
叶わないと知りつつ目標に突っ走ったのは、
キミと出会えたから。
辛い試練に立ち向かったのは、
キミが心を開いてくれたから。
よけいなお節介をしてしまったのは、
キミが悲しそうにしていたから。
”言霊”に明るい未来を託したのは、
キミの恋の色が見たかったから。
執筆開始 2025/2/17
完結 2025/2/27