キミの言霊は恋の色を描く

作者風音

2年連続ミス城之内に選出された耶枝は美しい見た目に反して残念系。ミスコンで優勝したら意中の瑠依に告白すると決意。だが、答えはノー。「付き合ってるフリをしてほしい」と提案し、1週間の恋愛テスト期間を設けてもらう。耶枝は過酷な試練に耐え続けるが、ふとした拍子で瑠依の裏面を知ってしまう。ある日、親友カッ…




あの日が来るまで


キミは景色の一部だった。





教室の窓から差し込む日差しを浴びながら本を開いて、


クラスメイトの誰とも喋らないまま、


自分の世界を楽しんでいるかのように見えていた。





でも、それは私の勝手な思い込み。





いま振り返れば、


置き去りにしてしまった青春を


胸の中に封じ込めていただけ。





ありのままの自分を見てほしかった。


なのに、傷つくのが怖くてブレーキをかけてしまっていた。





でも、それはマネキンの私も同じ。


残念系な部分も見てほしかったから……。







叶わないと知りつつ目標に突っ走ったのは、


キミと出会えたから。




辛い試練に立ち向かったのは、


キミが心を開いてくれたから。




よけいなお節介をしてしまったのは、


キミが悲しそうにしていたから。




”言霊”に明るい未来を託したのは、


キミの恋の色が見たかったから。






執筆開始 2025/2/17

完結 2025/2/27