「ねぇ広瀬さんってほんと暗いよね」
「広瀬さんに近付くと呪われるらしいよ」
「えー?何それ怖すぎぃ」
知ってる。
全部知ってるもん。
……嫌なくらい言われてきたから。
ずっと、ずっと。
ガチャ。
「ひ、広瀬さん……い、居たんだ」
「……」
「ねぇ、……早く行こうよ」
「う、うん」
そのまま逃げるようにかけて行く女の子達。
悲しくない。
悲しくない。
大丈夫だよ。
だって、私呪われてなんかないもの。
トイレの鏡を見ながら長すぎる重たい髪を見つめながらふぅ、と息を整える。
深呼吸。
大丈夫、大丈夫と安心する言葉を唱える。
そうすると不思議と安心するんだ。
そんな私を見つけてくれたのは君だったね。
この頃の私には君と出会う前の自分が想像出来なくてただただ毎日が億劫で苦しくて耐え続ける日々だったの。
そう、君に出会うまでは……