とどめの愛撫で

こんな時でなければ、君は僕に見向きもしなかったはずだ。

誰と出会うのか、よりは

いつ出会うのか、の方が重要に思えた。

でも、誰にも正解はわからない。

君と出会わない先の未来に、運命の人と出会うと何故わかるだろう。

宇田（うだ）傑（すぐる）は、10歳年下の神谷（かみや）一颯（いぶき）をかなり気に入っていた。

快活で、遠慮がなくて、いつも当たり前のことを言う。

当たり前で正しいことを言うのだ。

そして、自分はまだ大人ではないと強く信じている。

不幸であろうとする31歳と、愛に戸惑う21歳。2人を巡る孤独と執着と愛の日常。