スイッチ――それは百年に一度、この世に二つ現れる。
その存在も使い方も、誰も知らない。
持ち主二人以外は、誰も知らない。
存在することは事実であり、そこに理由はない。
ただ、この世に二つある。
一つは、持ち主二人のみを消滅させるスイッチ。
そしてもう一つは、持ち主二人以外の人類を消滅させるスイッチ。
消滅――痛みや苦しみも伴わず、ただ〝無〟になること。
その存在も使い方も、持ち主だけが知っている。
スイッチ――それは百年に一度、この世に二つ現れる。
百年に一度現れ、そして誰も知らずに消えていく。
スイッチ――それはもしかしたら、神様が人類に与えた、百年に一度のチャンスなのかもしれない。