勇者の幼なじみ 〜ツンデレ✕天然のすれ違いLove〜

作者入海月子

「お前なんて誰にも相手にされないだろうから、俺がもらってやる。大人しく待ってろ」と言って、セフィルは旅立った。同情でそんなこと言ったセフィルが私のもとに戻ってくるはずないよね? 実際、三年経ってもセフィルは帰ってこなかったし、音信不通だった。そんな時──

「セフィル、久しぶりにハグしていい?」

「お、俺はさみしくないぞ!」

「うん、私がさみしいの」

「仕方ないな」

 どうぞとばかりにセフィルが両腕を開いた。

 その胸に飛び込んで、背中に手を回す。

(さよなら、さよなら、どうか無事で……)

 祈るように抱きしめて、見送った。

 でも、私をもらってくれると言ってくれた彼は帰ってこなかった――。


 ~ツンデレ勇者セフィル×天然ファラのすれ違いラブ~