「あ、桜……」 気分が沈んでいて俯いていた私の視界に桃色の花弁が飛び込んできた。 ふわりと、淡い上品な香りが鼻腔を擽り、顔を上げるとそこには、緑の中にぽつりぽつり、と可愛らしい桃色の花が顔を見せる。 桜を見つけた私は、その香りと思い出の関係性に気づき、俯くのをやめた。
桜の香りは、私にとって人生の香りだ。