高三の冬、好きな人がいた。『冬の匂いがする』目を細めて笑う人は、私の告白をいつもはぐらかす。だけど、あの日は違った。私の卒業を待って返事をくれる、そう約束してくれたのに――。幾度目かの冬が来ても果たして貰えなかった約束の中、永遠に聞けない答えを捜してしまうのだ。