夜には隠すコーヒー

作者弓葉

映画やドラマを観ても、漫画や小説を読んでも、仕事でストレス溜まりすぎて泣いてしまう。感想エラーが起きている。最近の寝言は「もう、やめて」なにをやめてかは知らないが、悪夢には間違いない。今日の夢は仕事をする夢だった。

 そんな様子を見かねて、彼女が職場まで車で迎えに来てくれた。彼女が十八時に迎えに来ると言うので待たせるわけにはいかない。いつもなら終電ギリギリまで職場にいるが、この日だけは定時を少し過ぎた時刻に会社を出た。

「有給とった?」

 車のドアを開けた途端、彼女は言った。

「うん、病院に行って薬もらいに行くって言った」

 僕は助手席に乗り込む。ドアを閉めて、シートベルトを締めた。

「先に嘘ついちゃったら、来週、薬取りに行けなくなるじゃない」

 彼女はアクセルを踏む。発進した車は職場から離れて行く。

「でもさ、仕事が忙しいのに旅行に行くって言いづらい」

 明日は行かない、とわかっているのに置いてきた仕事のことばかり考えてしまう。一応、納期まであと一週間あるが、常にやっていないと落ち着かない。その原因は、次から次へと依頼が来るからだ。

「宏兎は真面目でえらいね」

 彼女はそう言うけれど、まじめ性格のポケモンは使われない。


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