心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

作者三月べに

古川七羽(こがわななは)は、自分のあか抜けない子どもっぽいところがコンプレックスだった。
新たに人の心を読める能力が開花してしまったが、それなりに上手く生きていたつもり。

ひょんなことから出会った竜ヶ崎数斗(りゅうがざきかずと)は、紳士的で優しいのだが、心の中で一目惚れしたと言っていて、七羽にグ…

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『――――あ。一目惚れした』



 ポカンとしてしまう。

 間違いなく、こちらを見つめてくる、優しい声の人の心の声のはず。


 え? ええ? なんて?

 今、私に、一目惚れって……?





「今日もありがとうございました。楽しかったです」


『嫌だな……嫌だ。俺を拒まないで。お願いだ』


「今日もごめんね、嫌なこともあって。次は……えっと」


『あ、次の約束……してない……どうしよう』


「いえ、本当に楽しかったですよ。遊園地も、飲み会も」


『だめだ。今行かせたら…………』


「そっか……」


 シートベルトをカチャッと外して、顔を上げれば、運転席の数斗さんが、苦しげな表情を我慢したような無理矢理な微笑みを浮かべていることに気付く。



『――――俺、失恋で、死んじゃうな……』



 ギュッと締め付けられて痛む胸。


 こんなにもつらそうな心の声は、今まで誰からも聞いたことない。




(※※※17話が未公開になっていましたので公開しました! とりあえず完結です!※※※)