青碧に溺れた、僕ら

作者榎本ハナ

 橘夏樹は小学生の頃、友達にキスしてしまったことを今でも悔やんでいる。
 高校三年の七月、夏樹のクラスに柳瀬郁人が転校してくる。
 転校初日の放課後、美術部に所属している夏樹は、テニス部の練習に参加していた郁人を美術室の窓から見かけて、その姿をスケッチブックに描く。
 その絵を郁人に見られて以来、…

“ふとした瞬間に思い出す。

誰もいない静かな教室。

青白く光るグッピーの水槽の前で、

生き物係だった僕たちはキスをした。”



生きづらさを抱えた男子高校生の

淡くて、青い、夏の物語。