「周ちゃん、これなんてよむの?」
「たまのこし、だよ。あまね、大きくなったらセレブになるの。やさしくてお金持ちのだんなさんと、けっこんするの。」
小学校の卒業文集。
同級生が夢いっぱいになりたい職業を上げていく中で、一際異彩の放つ回答をした女の子がいた。
『優しくて、誠実なだんなさま。十分な財力に安定した結婚生活』
小さな子供のマセた夢。周りの大人はそんなふうに笑っていた。だけど、そんな周りの思いとは裏腹、大人になってもその夢は変わらなかった。
そうして自他共に認める「玉の輿狙い女子」こと深瀬周は生まれた。