酒月柚夜

引き込む力と新感覚
笹川琉沙。中学生の彼女は幼い頃より『もう一人の笹川さん』と呼ばれていた。原因は、自身と同姓の完璧人間・杏奈がいるため。完璧な杏奈がいるからこそのコンプレックス。そこから育む友情と恋愛。二巻から本格的に物語が始動する――。

コメディーとシリアスを兼ね揃えたバランスの取れた作品。琉沙のツッコミに思わず口元が緩み、個性がある周りにも興味をそそられます。文章も丁寧で、個人的に大満足だったのです、が。

★を一つ減らした理由は、作中でも突っ込まれていますがベタな展開が多数あり、そのうえ一つの問題を特に味もなく無難に終わらせていたところに物足りなさを感じました。琉沙が杏奈と亜美と喧嘩してしまったところから仲直りまではその気が特に強かったです。それと、目立たない程度ですが誤字脱字がチラホラあり、『ああ、またか』と気になって少し集中を切らしてしまうことがありました。

琉沙と高吊の恋愛展開も気になりますし、それだけでなく、それぞれの登場人物が抱える過去にも目を離せません。

青春ものが好きな方、そして甘酸っぱくも切ない恋愛ものが好きな方にもオススメできる作品です。