《翔星高校》
この物語はどこにでもあるような高校に通う、地味な格好をした1年生が実は〇〇で、仲間と共に成長していくというお話。
「やばっっ!遅刻しちゃうよ!!」
私は翔星高校1年の城咲玲音(しろさき れお)。
入学式から1ヶ月。ずっとメガネで真面目で地味なフリをしている。
今は朝8時すぎ。生まれて初めて遅刻をしてしまいそうなところだ。
「お、玲音おはよー。なんでそんなに焦ってるの?」
この子は翔星高校で初めてできた友達で親友の、鈴原美麗(すすばら みれい)。私が思うに、美麗はこの学校で1番可愛い。
「だって美麗!もう遅刻しちゃうよ!? 8時すぎてるじゃん!!」
私がそう言うと美麗はキョトンとしている。
「…玲音?今まだ7:40だよ?」
私は驚いてもう一度時間を確認する。確かに腕時計の針は8:10をさしている。そこで私の時計を覗き見した美麗が一言。
「玲音、その時計止まってるよ?電池切れじゃない?」
「えっ!?」
美麗が自分の腕時計を私に見せてくれた。美麗の時計はしっかり動いており、しかもデジタルなので間違いない。7:40を示している。
「あ、ホントだ…針動いてないや…」
「ね?」
美麗は天使のような微笑みを見せた。
私の後ろを通った男子4人が大量の鼻血を出した。
「? どうしたのかなあの人達…」
美麗は天然だからか、恋愛にはまったく興味がなく、相手の好意も感じ取れないらしい。
また悪意がないことから、とても悔しい思いを私はしている。
いつもの姿なら負けないんだけどなぁ…。
「玲音行こう?教室!」
「…。うん!!」
しかし美麗の笑顔は私の支えでもある。私はその笑顔を守るために、美麗自身を守るためにいる。自分でそうおもっている。
もう2度とあんな思いはしたくないからー…。
「どうしたの?難しい顔して」
美麗がいつの間にか私の顔をのぞき込んでいる。
「ん?ううん。なんでもないよ」
私はすかさず微笑み、美麗に今日はなにがあるのか尋ねた。
「今日はね、私たちのクラスに5人、転校生がくる日だよ」
ー続くー