恵沢りょう

『放課後、いつものベンチ』 作中から
物語の主人公の結衣は、ひょんなことから近寄りがたい美人のクラスメイト、南の秘密を知ってしまう。
それは到底現実では考えられないことで……


この作品を読んで。
まずは大きな波や突出した見せ場のシーンは少ないです。

普通の高校生活。
部活をしたり、友達同士で旅行に行ったり、クリスマスパーティーをしたり。
ごくごくありきたりな日常。
でも、普段の生活の中で皆悩み、想い、苦しんだり焦がれたりしている。

夢のように王子様が現れることはない。
けれど、ごく自然体に、じわり、じわりと心に響いてくる。
切ないけどどこか暖かい。


おせっかいな結衣と莫大な秘密を抱えた南。
壁は大きいけれど、この極当たり前な学校生活なため、すんなりとしみこんでくる。


夕日に照らされた、本当に自然体な物語。
おススメです。