これは生まれ育ったムラからあ一度も出ることを許されなかった、彼女の想いをかけた小さな小さな心のおとぎ話。
彼女は漕いだ。
それはもう一生懸命に、自転車を。
最初に壊れたのはかごだった。
重い荷物を入れすぎたのだ。
次はパンクした。
砂利道やいばら道に耐えられなかったのだ。
そして最後に。
ペダルが壊れた。
その自転車はもう2度と前へとは進まない。