柚茶緒花

スリルに拍車がかかった恋愛小説
Min-Goo様作の『ロシアンルーレット』の大大大ファンでして、そのコラボ小説だということでテンションが異常に上がってしまいました。
さすがアクション小説をベースにしているだけあり、とってもスリル満点です。
特に、葛原が美百合へとのりうつり、龍一を殺そうとするシーンでは息を呑みました。
描写の巧みさがスリリングな場面にさらなる拍車をかけ、非現実的なはずのこの作品の世界へとぐいぐい引き込まれていきます。
ただ、欲を言わせてもらえば、『ロシアンルーレット』を知っているからこそ、内容の生ぬるさを感じずにはいられませんでした。
例えば、最後の場面。龍一の心の葛藤を随分と描いていますが、それにしては美百合が言った共に生きていくという言葉をすんなりと受け入れすぎだと感じます。自分と一緒にいるということは、美百合にも当然危険が及ぶわけで、これから美百合を守っていくという龍一の覚悟をもっと示すべきなのではと思いました。
ですが、やはり確かな文章力の持ち主。
人殺しの罪を扱った重い内容となっていますが、命の輝きや儚さが伝わる切なくも心温まるストーリーに深く感動しました。