「女を_____舐めんな!!」
これが、あたしの信条だ。
男性社会の代表例と言っても過言ではない、警察の世界。
改善されてきているものの、まだ残る上下関係の厳しさ、女への当たりのきつさと肩身の狭さ......しかし、そんな中、あたしは日々奮闘している。
最初は雑務ばかりだったし、それがきつかった。
けれど、念願の刑事になれて。
辛い事もたくさんあった__けれど、充実した日々を送っている。
頼りなさすぎるけど、あたたかな性格で何だかんだで皆から好かれる人情あふれた「~ッス!」が口調の直属の上司。
あと____
「異議あり! フッ......君は初歩的な事すら指摘されないと分からないのかね?
今しがた貴様の行った立証は矛盾だらけだ!
......下らん戯言に付き合える程私は暇ではない。こんな裁判、裁判長にはさっさと有罪判決を申し渡してもらい閉廷して頂こうーー」
ビリビリと響く、凜としていて冷徹な低い声。
__彼を除いては、あたしの人生が語れない。
上司の上司で、眉間には皺が寄せられているにも係わらず、密かな人気を誇る検事。
グレーに光る髪にグレーの瞳。
端正な顔にすらりと通った鼻筋。
ワインレッドのスーツに身を包み首元にはクラバット。
品性ある立ち姿に誰もが一度は魅入られてしまう。
他人に厳しく自分にも厳しい、天才検事。
__それに比べて、あたしは。
「馬鹿か?」
「ハァ.......こんな事も知らないのかね?よく刑事になれたものだな」
「一度くらい脳を使ってみたらどうだ?」
「っ、すみ、ませんね...馬鹿で」
注意されてばかりの、平々凡々なしがない新米刑事。
唯一誇れるのは、運動能力のみ。
そうだとしても。
あたしは、あたしなりに精一杯頑張る。
いつか、絶対____認めてもらうんだ。
生傷が絶えないのはいつも通り!
へこたれてなんか、やらないんだから。
聞き込みに証拠探し、犯人確保。
地位が欲しいと考えないわけじゃない。
けれど、あたしが欲しいのは_____
「女を____舐めんなよ!!」
対抗心が、いつの間にか恋心に変わっていたんだ。
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新米刑事と天才検事が、いつの間にか恋に落ちていた。
そんなお話。
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主人公は糸鋸刑事の部下。
元気いっぱいで運動能力だけは抜群。
素直で一生懸命頑張れるけど、強がっちゃう。弱い自分を見せたくないから。気付かせないよう、明るく振る舞う少し口の悪い新米刑事さん。
失敗も多い彼女に最初はキツイ当たりをする御剣さん。口喧嘩はしょっちゅう、もはや名物レベル!
物語は、彼女の学生時代から始まる___