ある春の日、橋の上で青年は一人黄昏れていた。
毎年春になると来るこの青年が想うのは、かつて恋人だった一人の少女。

二人を切り裂いたのは
…残酷な運命だった。



---桜の花が咲く度に、僕は君への淡い

思いを抱いています。


春の心地の良い風の中、川岸に咲く桜がよく見える橋で、青年が一人、黄昏ていた。


---もう、手の届かない所にいる君を忘れないように。いいや、自分への慰めなのかもしれない。


君との日々を思い出す度に懐かしく、こそばゆい気持ちになるのとは裏腹に、後悔の念に駆られる自分がいる。



「…今年も忘れないように思い出そうか。君と過ごした1年間を。」