trrrrr…trrrrr…trrrrr…
「はーい。」
『堺先生、そろそろ原稿上げてください!』
詩人、堺 真帆(さかい まほ)は耳から受話器を離した。
その反面、詩…ではなく、物語を書けと依頼されていた事も思い出す。
「分かった分かった、分かったってば。」
『もう…〆切昨日ですからね⁉︎』
担当の編集者、渡部 乱兎(わたべ らんと)は受話器の向こうで溜息を吐く。
『先生の〆切破り常習犯っぷりには、ほとほと参りますよ。』
「うーんそっか、じゃあ練るかなぁ。」
『今からですか⁉︎』
真帆はうんと一言返す。
「私、忙しいから切るね。」
『え、ちょっと、先生!』
そう言って、部屋に篭ってしまった。
とある詩人の物語