どこの誰とも知らないあなたへ

作者HIRO

罪を犯す代償



例えば

あなたはどう産まれ、どう育ち、

誰に出会い、誰に愛され、

誰と笑い、誰と手を取り、どう生きてきたか


どんな風に笑い、どんな風に泣いて、何が好きで、

何が嫌いで、どんな人だったか


あなたを知り、あなたの未来を想像し、

それが奪われたことを知る


自分が息をしたとき、歩いているとき、

食事をしたとき、眠る前

あなたがもう同じことができないことを知る

その日常が奪われたことを知る


それがどれほどの罪であるか


後悔は尽きず、反省は終わらない

あなたがしていただろうこと

あなたがこの先できただろうこと

それを自分がするたびに罪悪感が募り、後悔する


償うことなどできない。ただ懺悔するのみ


生きていてもいい、死ぬ必要もない、笑ったっていい、息をしてもいい、美味しいものを食べたっていい…………

でも、一生許されず、

自分が何かするたびに同時にそれを懺悔する


そんな人生が、

どこの誰とも知らないあなたに待ち受けていないことを。