眼が覚めると薄暗い教室だった。

畑中隆文(男子18番)は目を覚ますと仲のいい連中に声をかけた。

頭脳明晰で運動神経抜群のサッカー部キャプテンの檜山直樹(男子19番)と格闘の天才である水球部の杉浦陽平(男子11番)、幼馴染の高島泰秀(男子13番)、そして3年になって知り合った木村修(男子7番)はすぐに目を覚ました。

そして男子不良系の連中も目を覚ます。

保坂直尚(男子21番)と松本孝明(男子22番)、和田敏(男子25番)、そしてリーダーの神田和彦(男子6番)だ。

比較的仲のいい女子が横にいたので隆文は起こした。柊郁美(女子19番)らだ。

その時教団に大人がいるのを見た。その大人は途端に叫んだ。

「お前ら静かに」

R中学校3年F組の男女25名ずつの50名は今年の“プログラム”に選ばれたのだ。

「皆さんは第63回プログラムに選ばれました。おめでとうございます!私の名前は新庄です。皆よろしくね。簡単にルールを説明しまーす。50人で殺しあって最後の一人になるだけでーす!」

神田和彦と4月に転校してきた熊田真斗(男子8番)、女子不良格の高島美宏(女子14番)を除く47人は一斉に声を上げた。

「納得いくか」

「誰だお前」

「家に帰らせろ」...

すると後ろの戸からアーミー服を着た兵士がぞろぞろ来て、機関銃を天井に乱射した。

女子たちは一斉に悲鳴をあげて男子は叫んだ。みな立場を理解したようだ。

何事もなかったかのように新庄は続ける

「えーと6月1日の午前0時ぴったりに最初の人に出発してもらいまーす。後でクジを引くので待っててくださいね。」

「禁止エリアについて説明しまーす。

この島は東西AからJ、南北に1〜10の計100のエリアでできています。ちなみにこの分校はG=7に位置しま〜す。あとで渡すデイバックに地図が入ってるのでよう見といてください。2時間に1回禁止エリアが設定されます。もしそのエリアに生徒がまだいたら、首輪が爆発します。そんなことにはなるなよー」

生徒たちは首に手を当てた。そう、首輪がつけられていたのだ。何だよこれ!と言う声が聞こえたが兵士がにやけるとおさまった。

「禁止エリアは6時間に1回の放送で指定します。聞き逃すなよー。また放送ではその6時間での死亡者を報告しまーす。1日4回な。」

「最後に制限時間でーす。72時間です。もし6月4日になっても2人以上生きていると、全員の首輪が爆発します。早く殺しあえよ」

言い終わると新庄は封筒を取り出した。

「くじを引きますねー。」

紙切れを取り出すとどうやらM01と書いているようだ。

「男子1番の朝原優君ですね」

「は...ぃ」

優は震える声で返事をした。

帰宅部で180cmの長身にもかかわらず50kgしかないガリガリの彼の顔は真っ青だった。

「この中に武器が入ってまーす!あたりもあればハズレもあります。か弱い子も武器によっては優勝できる可能性もあります。ですからそ」

「新庄先生」

低い声が新庄の説明を遮った。

皆一斉に古田祐一(男子20番)に視線を集めた。

「人が話している時は静かに聞きなさい。で、質問は何ですか?」

「武器ってどんなものがありますか?」

「そうですね。銃器類からおもちゃまで揃ってますよ」

「分かりました」

特に表情を変えず祐一は座った。

「そろそろ時間でーす。麻原君デイバッグを受け取って分校を出てください」

しかし優は動かない。いや、動けないのであろう。しかし兵士が機関銃を向けるとゆっくりと歩きはじめた。

こうして第63回“プログラム”は6月1日0時00分06秒、幕を切った。