部室へと続く廊下を歩いていた。
少し、誰かの視線を感じる。
「波留センパイ…っ!!」
名前を呼ばれ、振り向く。
「んー?」
名前を呼んだのは、儚げな女の子。
そして、頬を赤らめていた。
その理由は大体分かっている。
「え、えっと…、わ、私、波留センパイのコトが好きです…っ!!」
予想通り。
今年になって、8回目。
「ごめん、私、女なんだけど…」
「分かってます!! それでも、波留センパイのコトが好きなんです!!!」
「あ…。まじか。」
百合か。
うん、可愛い。
「ダメですか?」
彼女は目に涙を浮かばせていた。
うるうるした目から、涙が零れ落ちそうだ。
「…ごめんね。」
「い、いえ…。…よろしければ、今度お茶しに行きませんか?」
「うん!部活が休みの日ならいいよ!」
「やった…!」
哀しそうだった顔がパッと明るくなった。
彼女はポケットからなにかを取り出し、私の手に握らせる。
「こ、これ私の電話番号とメアドです!これに連絡してください! では!」
満面の笑みで走り去っていった。
「はぁー…。なんで女の子ばっかに告られんのかなぁー。」
少し憂鬱になる。
時計に目をやるともう4:45を差していた。
部活に行かなきゃな。
歩き出そうとすると背後からポンッと頭を叩かれた。
「いったぁー」
誰だよと思いながら振り向くとそこには、私より少し大きい背丈でサッカーウェアを着てる人が目に入った。
「凌じゃん」
「何ボーってしてたの?」
彼は笑いながら問いかける。
そして、私の手元に目を向けた。
「お前、また告られたんだ」
「何よ。悪いの?」
「悪くはないけどさぁー」
また彼は笑う。
「とりあえず、早く部活来いよ!」
凌は手を振って部室へ走っていった。
私も、早く部活行こ。
なんだか、心臓の鼓動が高鳴っていた。
どうしてかな。
まぁ、いっか。