mimiko
このふたりの恋は、心持ちの潔さは桜なれど、日々は薫る梅のような……
淡々と紡がれる文章に、日々の積み重なる気持ちがあり
プロポーズは、それが当然といった自然な空気で行われ
なのに、ふたりを取り巻く、あまりにも無情な運命に、先行きが見えて、自然に涙が出ました
わかっていたからこそ、ラスト近くの静かな静かな、ちょっとした別れが辛くて
あまりにも非常な運命に、私は、読んでいる間中、微かな奇跡を願わずにはいられませんでした
そして奇跡は起こらず
美しい『軌跡』として人生を振り返ることの出来る
主人公の生涯にため息をつくことになります
真実の愛なんて言葉は、あまり使いたくないのですが
普通に愛して、普通にふたりで生涯を送った、ささやかな日々の生活
『赤い靴』
つないだ手に、やはり、
『愛』を見ました
変な感傷を誘う事柄もありません
ただ出来事を淡々と追う文章が、彼女の心の強さと覚悟を知らしめて
苦しかったです
受け止める彼も、悲しかった
誰かを愛するということは、幸せで幸せすぎて、やっぱり悲しいのかもしれない、と思いました