錬徒利広
交錯する思惑の先に
私はこれを読んで非常に驚いた。
ケータイ小説に、こんな質の良いものがあるなんて。
物語の掴みの部分から最後まで、首尾一貫して美しい構成であり、また巧みな文章力が見受けられる。竜頭ではあるが、決して蛇尾にはならない。
また、読み直しても新たな発見がある、噛みしめれば噛みしめるほど作品の良さが増す逸品であると思う。
副題をつけるとしたならば、「真夏の夜の夢」といったところだろうか。
とにかく、私が多くを肯定化することのできないモノが、この小説にはぎっしりと詰まっている。
エンターテイメント性ももちろんだが、文学性も高い。ケータイ小説を読みなれている者には一見難解な物語であると思うが、一度読んで、それから何度も何度も読みなおしてみたくなる作品である。
プリン杯優勝も頷ける。グレイト!