龍谷 新生

『ほしまつり』とは一体何か?
意図して書いているのだろうか、所々で現れる小道具や使われる単語などから良い意味での古めかしさを感じ取ることができる。

これが何とも言えない居心地の良さを作り出していて、申し分なくノスタルジックな雰囲気を肌で味わえる作品だ。

また0章の存在はこの作品を語る上で外せないことも付記しておこう。

完成度は非常に高い。

だが、この作品の『欠点』を上げるならば、それは『インパクトに欠けること』だろう。

突出したイベントがないため、地球規模のド派手なストーリーや、報復絶倒のコメディを読みあさる人たちには堅苦しくて退屈な物語でしかないかもしれない。

しかし、それは逆に言えば『腰を据えてじっくり読みたい人』にとってはこの上ない良作だということでもある。

そうはいっても決して地味というわけでもなく、文学を楽しむ方法を知っている方たちならば間違いなく満足できる作品に仕上がっている。

そしてラストはほろりとさせるシーン。
同じような思いを抱いた方もいるだろう。きっと感傷的な気分に浸ることができるはずだ。