魔法の時計と銀のスプーン

作者蜷川 まどか

鳴るはずのない鐘が鳴った---。

その時、街は---、

国は---、

世界は---。






ある日、信じられないことが起こった。



昼日中、鳴るはずのない大時計の鐘が街中に轟いた。





その時計は、先の大戦の時に錆びついてしまい、


中の振り子が動かないばかりか、


鐘の表面ですら錆とカビが酷くて、





万が一、振り子が動いたとしても、

音は響くことなく、鳴ることもなく、

ただギィギィと軋むだけのはずだった。






その鐘が鳴った時、一体何があったのか…。