小毬汐日
ちいさな希望を胸に戦う者たち
しっかりとした描写と魅力的なキャラクターに支えられたこの作品は、一話完結の物語を通して大きな物語を形作っているため、全体的にとても読みやすかったです。
そこかしこにちりばめられたコミカルな台詞にはクスリと微笑まされ、なおかつ各章のクライマックスに設けられたバトルシーンは迫力満点。
そして物語の結末に滲んだ数々のメッセージは、時に破壊されてゆく自然に対する憐れみであったり、慈しみにも似た愛情であったり、誰もがぶつかり得る自らの遠い起源であったり……。
そんな彼等が旅をする中で出会う様々な人物は、弟を守りたいリサや、大切な人を離したくないユリア。仲間の思いを信じ続けるユウナに、そして誰かの想いを伝えようと託すユキヤ。
人々はだれしもがあたたかな心と悲しみを持ちながらも、一握りの希望を胸に精一杯に生きているのだということを教えてくれます。
ひとつひとつの話が宝石のような輝きを放つ、アクションファンタジーの傑作です。