はじまりはただなんとなくで。
ただ、惹かれたんだと思う。その姿に。
公園のような広場のようなところで、彼女は歌っていた。
「どうして、歌っているの?」
なぜ、こんなこと聞いたのかも分からない。
ただ、なんとなく。
「死ぬから、歌ってた。なんか悪い?」
歌うのをやめた彼女の声は意外にも低くて。
その声で勝気に俺に言った。
けど、その歌は「死」なんて言葉を知らないようで。
ただただ、美しかった。
「歌って。」
君の、死の意味なんて知らないけど。
歌ってください。
多分、もう聞こえないんだろうけど。
彼女の歌声に、僕はいのちをもらったんだ。