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眠らない夜が訪れ
餓えた人々は
今宵もまた
垂れ流される
闇色の誘惑に
身を委ねてゆく
――ペニシリンクラブ
地上の騒音から
隔離された
いつもの地下フロア
その最奥
赤く湿った
いつものソファー
飽きることなく
いつものオーダー
タバコに火を点け
バーボンのロックを
一口流し込むと
彼は
ソファーに身体を沈め
静かに目を閉じた
空間に放たれた
音の屍が
彼の聴覚を
抉じ開ける……
少しの間
彼は
その音の欠片の中に
躰を預けた――