ミヤコグサ (上)

作者ツノブエ

「赤ちゃんを返して!」妻洋子の悲痛な叫び声。洋子の好きな都草。都草の花言葉「また逢う日まで」を心の中で噛み締め、私は娘に逢うまでの道を歩み始めた。

「赤ちゃんを返して!」

妻洋子の悲痛な叫び声。


病室の窓辺に置かれた小さなガラス瓶に洋子の好きな都草。

私は都草の花言葉「また逢う日まで」を心のなかで噛み締めた。


愛欲の波間を漂いながら私は娘を探し求めて泳ぎ始めた。