「ギャーー!遅れるー!」
あぁくっそ、始業式から最悪だ。
何回か目のアラームの時にはもう手遅れで、このざまだ。
「くっそぉ!」
きっと物凄い形相で桜並木を走る。
家から学校まで徒歩30分。
自転車は鍵が紛失の為無し。
運の悪さが重なって、最悪な1日になりそうだ。
始業式に遅れるとか印象最悪かよ…
今日から晴れて高校生だ。だが、朱理には不安しか無かった。
昔から少し人見知りがちで、知らない人だらけで
馴染めるだろうかと、不安だった。
そんな事を考えていると、
反対方向から同じ制服の男子がバイクに乗っていた。
あれ?反対…?
不思議に思っていると、バイクがすぐ横に停まった。
ヘルメットを外した彼は優しそうな顔で言う。
「分かってると思うけど、学校と反対方向だよ?」
思いっきり血の気が引いた。
「嘘!絶対違うもん!」
と言った後でネクタイが青色で先輩だと気付く。
あっ…しまった。しばかれるか?
すると全く気にしないように言う
「もし良かったら…送ってこうか?」
「あぁぁぁぁあざっす!」
完璧なお辞儀をしたらクスクス笑いながら
ヘルメットをパスしてくれた。