高校生最後の年、学年全員が受験モードの中、佐藤あきらは周りからひとり浮いていた。古い柱時計の振り子がリズムを崩したとき、その不安定な世界は少しずつ変わり始める。
高校生最後の年、佐藤あきらは周りからひとり浮いていた。大学受験を控えて焦るクラスメイトを冷ややかに見つめては、また宙に目を向けボンヤリと、放課後という近しい未来に思いを馳せる。「わたしは、何がしたいんだろう」ゆらり、ゆらり、ゆるらり。古い柱時計の振り子がリズムを崩したとき、あきらの世界は少しの非日常とたくさんの不思議に囲まれて、ゆっくりと、けれど確実に変わり始める。