Coriy
男じゃないとダメなんだ、
ストーリー構成がとてもしっかりしていたので、最後まで楽しく読めました。
主人公虎狛(琥珀)は生まれてからずっと“男”と偽って、育てられてきた。昼間は男として、夜は女として生活する日常。そんな毎日に嫌気が差した虎狛は、一週間だけ家出をすることを決める。そして3人の不良に面倒を見てもらうことになり――。一見華やかそうな表世界で生きる主人公の、女に生まれてきたことを悔やむ気持ちが、リアルに描かれています。
虎狛ちゃんの男を演じている所為か、普通の男の子より口調が荒くなってしまっているところや、登場人物一人ひとりの心理描写が細かくて読みやすかったです。
けれど、誰と喋っているのか分かりづらいところが、いくつか見られました。誰と喋っているのか、すぐには分からないようにしているのは、一種の表現方法なのだと思いますが、それが多すぎると読みづらさを感じる原因になりかねないです。
あと、個人的にはもう少し、羅那ちゃんや志基くんとのエピソードがほしかったかなと思いました。
自分らしさを見つけて生きていく事の大切さが伝わる素敵なストーリでした。